暗号資産にかかる税金って?確定申告は必要?正しい納税を心がけよう!

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「暗号資産にかかる税金の税率や計算方法などがわからないから不安」

「暗号資産は儲かってもがっつり税金で持っていかれるって聞いたけど本当?」

株式や債券などの金融商品などを通して得られた利益は、税務署に申告して納税する必要があります。暗号資産も例外ではなく、暗号資産の取引を通じて得られた収益は、必要に応じて申告して納税する必要があります。

しかし、暗号資産にかかる税金は、ほかの金融商品とは違っており独特です。そのため、暗号資産にかかる税金に対して不安に感じる方も多いのではないでしょうか?

ここでは、暗号資産にかかる税金や、申告が必要になる状況などについて解説します。申告漏れによって脱税しないように、暗号資産取引している方や、今からはじめる方は一度目を通してみてください。

この記事でわかること
  • 暗号資産にかかる税金の詳細
  • 暗号資産で税金の申告が必要になるパターン
  • 暗号資産で税金申告をスムーズに行うための工夫

※税金面で不明な点があれば、最後は専門の税理士の方のアドバイスを参考にしましょう。

目次

暗号資産にかかる税金

まずは、暗号資産で収益を得たときの税金の種類について目を通してみましょう。暗号資産での税金は、ほかの金融商品に課税される税金と種類も異なっています。

暗号資産での税金の種類などを理解すれば、暗号資産が税金面で不利といわれている原因もわかるでしょう。

暗号資産に課税される税金は?

暗号資産での利益は、原則「雑所得」として計上する必要があります。

雑所得は、「総合課税」の対象になる所得に属しているため、そのまま給与などのほかの所得に合算されます。

ただし、2023年からは、暗号資産による収入が年間で300万円を超えて、かつ暗号資産取引関連の帳簿記録が保存されている場合は「事業所得」に分類できるようになりました。

一方、株式投資で得られた利益は「譲渡所得」として計上されます。

譲渡所得は、総合課税ではなく、「分離課税」に分類される所得なので、給与などの所得とは分離させて納税額の申告を行います。

暗号資産がほかの金融商品と大きく税金面で変わる原因は、この所得としての分類の差が大きく関係しています。

暗号資産にかかる税率

暗号資産での利益は雑所得として計上して、ほかの所得と合算した金額で税率の計算を行います。

日本は、所得が多ければ多いほど、納税する税金も多くなる「累進課税」を採用しているため、暗号資産の利益で所得が多くなればその分高い税率が適応されます。

所得に応じて計算される所得税の税率は、「所得に対して5-45%」の範囲で計算されます。

さらに、別途住民税が「所得に対して10%」課せられるため、所得税と住民税を合わせて最大で55%の税金がかかる計算になります。

株式投資などでの利益は「分離課税」なので、給与などと別で計算して、株式投資での利益に対して所得税や住民税などを合わせて一律で20.315%が課税されます。

所得税の目安一覧

課税される所得金額税率控除額
0円から1490000円5%0円
1950000円 から 3299000円まで10%97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円 以上45%4,796,000円
引用:国税庁公式サイト

暗号資産の納税時期

暗号資産での損益の計算は、その年の1月1日から12月31日までの期間で区切って行われます。

上記の期間での利益を計算して、同じ年度の確定申告で所得を申告しなければいけません。確定申告は毎年2月中旬から受付を開始して、3月中旬を期限とされることがほとんどです。

そのため、確定申告の期日内に申告できるように年明けから準備しておく必要があります。

損益通算で所得の減算はできない

雑所得として計上される暗号資産の利益ですが、もし損失が発生したからといって、給与所得などのほかの所得から損失分を差し引いて申告することはできません。どれだけ損失を膨らませても、給与分の所得はそのまま課税されます。

しかし、暗号資産の損益は、一年以内であれば計上できます。

そのため、大きく利益をあげた同じ年に、損失を発生させてしまった場合は、利益から損失額を差し引いた金額を雑所得として申告できます。

暗号資産で利確とみなされる3つのパターン

暗号資産での利益はすべて「利益確定(利確)」させたタイミングで発生します。

しかし、暗号資産での利確の定義は大きく分けて3つあることに注意しなければいけません。

次は、暗号資産で利確したと定義づけられている3つのパターンを紹介します。

含み益のある暗号資産を日本円へ交換

最初の利確のパターンはいたってシンプルです。

あなたが購入した金額よりも、暗号資産の価格が上昇している状況で、日本円に変換した場合は利確に当てはまります。

日本円へ変換した場合の利確は、日本円として目に見えるため、利益の計算も比較的行いやすいでしょう。

含み益のある暗号資産をほかの暗号資産へ交換

あなたが購入した価格よりも上昇した暗号資産を持っているとしましょう。含み益状態にある暗号資産を日本円に変換してしまうと利確になって税金が発生します。

しかし、日本円だけでなく、含み益のある暗号資産をほかの暗号資産へ交換した場合も日本では利確に当てはまります。

そのため、ほかの暗号資産へ交換するのであれば、そのときの利益分を日本円に一度換算させて計算する必要があります。

暗号資産の含み益での支払い

ビットコインをはじめとした暗号資産は、世界中で買い物での支払い通貨として利用されています。実は、日本国内でも一部のお店では、ビットコインなどを決済手段として利用できます。

もし、含み益のある暗号資産を利用して買い物を行った場合、暗号資産の利益分を一度日本円に交換して、価値をほかのモノに交換したとの認識で利確に当てはまります。

そのため、手持ちの暗号資産を利用しての決済場面では、税金がかかる場合もあるため注意が必要です。

暗号資産の平均取得単価と利益の計算方法

暗号資産の利益額を把握するために利用する平均取得単価の計算方法は、大きく分けて2種類あります。

暗号資産の平均取得単価の計算方法
  • 総平均法
  • 移動平均法

次の状況で実際の利益計算をそれぞれの方法で行ってみましょう。

1/1 1BTC=100万円で1枚購入

5/5 1BTC=130万円で1枚購入

8/5 1BTC=150万円で2枚売却

10/4 1BTC=100万円で1枚購入

総平均法

総平均法での平均取得単価と利益の計算は非常にシンプルです。手順としては、通年を通して取得した数量と取得単価から平均取得価格を算出します。

1年に1度計算するだけで取得平均単価の計算が行えるため、取引記録をしっかり残しておけば、そこまで手間がかかりません。

実際に今回のケースで計算すると、

(100×1+130×1+100×1)÷3枚=110

となり、この年1年を通しての平均取得単価は110万円になります。

この年は、8/5に1BTC=150万円で2枚売却したため、最終的な利益計算としては(150-110)×2枚)=80万円になります。

移動平均法

総平均法での計算は1年を通しての取得単価から利益計算を行いますが、移動平均法は、売却時点に保有している取得単価で平均取得単価と利益の計算を行います。

実際に計算してみると、今回のケースでの平均取得単価は

(100×1+130×1)÷2枚=115

となり、売却した時点で保有していたBTC1枚あたりの平均取得単価は115万円になります。

そのため売却による利益は(150-115)×2枚=70万円になります。

移動平均法は、総平均法と比べるとやや複雑になりやすいですが、一年の途中で計算できるというメリットもあります。

計算して申告するときのルール

  • どちらの方法で計算するかを申告する
  • 申告がない場合は原則、総平均法を選択したことになる
  • 3年間は計算方法の変更ができない
  • 銘柄ごとに設定できる

平均取得単価は、そのときの状況によって計算方法で変わるため、雑所得として計上する利益の金額も変わります。

そのときで都合よく、利益が少なくなるような方法で計算しようとする方も多いと思いますが、ルールが定められています。国税庁のホームページにある「申告書」を所轄の税務署へ提出する必要があります。一度申請した方法で3年間は変更できないため注意しましょう。

申告しなかった場合は、原則として総平均法を採用されることになります。

暗号資産の税金計算をしやすくするための工夫

暗号資産の税金は、取得単価などを正確に把握したうえで、利確したときの価格差で利益を計算して申告しなければいけません。しかし、暗号資産取引所以外でも分散型金融(DeFi)など利用する暗号資産では、取得単価の把握がごちゃごちゃになる場合があります。

次に紹介する方法で、普段から暗号資産の税金計算を行いやすくする工夫を意識することが大切です。

日頃から売買やトレードの記録をとる

基本的に意識すべきポイントは、いたってシンプルで、トレードごとに取得単価や取得日などを記載しておくことが重要です。暗号資産取引所であれば、過去に行われた取引はすべて記録されているため、取引記録を抽出してさかのぼると、トレード内容を記録できます。

しかし、デイトレードなど頻繁にトレードする場合は、複雑になりやすいため、毎日記録することをオススメします。

ウォレットなどを通じてDeFiを利用する場合は、すべて自分で記録しておく必要があるため注意しましょう。

税金計算サービスを利用

暗号資産の税金計算を代行で行ってくれる便利なサービスやアプリがあります。

国内外の暗号資産取引所などを使用する場合であれば、税金計算サービスの無料プランの範囲で対応できる場合もあります。

確定申告で申告する内容は、正確さが求められるため、手間を省きつつ正確なデータを提出するために、有料プランであっても専用のサービスを利用すると安心です。

売買を複雑にしない

暗号資産の税金面が不安であれば、複雑なトレードを避けることも重要です。

普段から積み立てなどで暗号資産を購入して、売るときもまとめて売るなどして、全体の取引回数を少なくするだけでも、取得単価や取得日の記録が行いやすくなります。

税金面に不安を抱える方は、そういったシンプルなトレードを行うように意識するだけでも安心できるでしょう。

暗号資産の税金で注意点

暗号資産の税金では、いくつもの注意点があります。注意点をしっかり理解して、普段から意識して確定申告を行わないと気づかないうちに脱税してしまう可能性もあります。

しっかり税金面の注意点は、覚えておくようにしましょう。

脱税はかならずバレる

暗号資産は、ブロックチェーン技術を用いた高度な暗号システムのもとで成り立っています。高度な暗号化されたシステムであるがゆえに、自分の利益を隠して脱税を図ってもバレないと考える方も多いです。

しかし、ブロックチェーン技術で暗号化されたシステムは、不正などができないだけであって、すべての取引記録はネットワーク上に保存されています。

税務署の職員がネットワーク上の記録を調べれば必ず所得隠しが発覚します。

透明性が担保されている暗号資産では、脱税を考えるのは絶対にやめましょう。

エアドロップやマイニング収益も課税される

暗号資産で利益を得る方法は、トレードだけではありません。マイニングやエアドロップなどの暗号資産を直接手元に取得する行為も利益による所得として扱われます。

そのため、エアドロップやマイニングで得た暗号資産は、取得した日の価格から取得単価を計算して所得として計上しましょう。

エアドロップやマイニングで得た暗号資産は、日本円やほかの暗号資産へ交換するときではなく、取得したその時点で所得として扱われます。

法人は含み益にも課税される

法人として暗号資産の取引を行う場合は、個人で行うよりも税率が低かったり、損益通算が行えたりなど、メリットがあります。

その反面、法人独自の課税ルールがあります。個人の場合は、利確を行ったタイミングで所得として計上するだけで、利確していない含み益に対しては税金がかかりません。

しかし、法人の場合は決算の時期に保有している暗号資産の含み益も課税対象となります。

そのため、長期保有でガチホしている場合は含み益を毎年申告する必要があります。

確定申告は余裕をもって行う

暗号資産だけでなく、確定申告はごちゃごちゃしやすいため、時間がかかります。

そのため、確定申告の受付が開始される直前ではなく、年明けしてからすぐなど、ある程度時間の余裕を持てるタイミングで、利益計算や確定申告書の作成に取り組むといいでしょう。

暗号資産の利益は雑所得として確実に申告しよう!

今回は、暗号資産にかかる税金についてまとめました。

暗号資産での利益は、株式投資での利益とは違い、「雑所得」や「事業所得」として申告が必要です。雑所得は、給与所得などと合算する総合課税に分類されるため、暗号資産以外の所得の総額で税率が決まります。

暗号資産での脱税は必ずバレてしまいます。

しっかりと暗号資産の取引を記録して、確実に確定申告ができるように普段から心がけましょう。

取引だけでなくエアドロップやマイニングなどでも課税対象になるという点は注意しましょう。


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記事執筆者

ALLマネー! 編集部

監修者 
若本 康夫
海外大学院でMBA(経営学修士)取得後、大手証券会社にて勤務。
退職後ファイナンシャルプランナーとして独立し、現在は資産形成を中心とする記事執筆にも携わっています。
証券会社勤務の経験を活かし、暗号資産やNFTなど新しい領域も含め幅広くカバーしています。
■保有資格:証券アナリスト、IFA(資産アドバイザー)、FP(ファイナンシャルプランナー)

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